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小豆沢病院 総合診療専門研修プログラム
日本専門医機構認定

2.総合診療専門研修はどのように行われるのか

1)研修の流れ:総合診療専門研修は、卒後3年目からの専門研修(後期研修)4年間で構成されます。

  • ・1年次修了時には、患者の情報を過不足なく明確に指導医や関連職種に報告し、健康問題を迅速かつ正確に同定することを目標とします。
  • ・2年次修了時には、診断や治療プロセスも標準的で患者を取り巻く背景も安定しているような比較的単純な健康問題に対して的確なマネジメントを提供することを目標とします。
  • ・3~4年次修了時には、多疾患合併で診断や治療プロセスに困難さがあったり、患者を取り巻く背景も疾患に影響したりしているような複雑な健康問題に対しても的確なマネジメントを提供することができ、かつ指導できることを目標とします。
  • ・また、総合診療専門医は日常遭遇する疾病と傷害等に対する適切な初期対応と必要に応じた継続的な診療を提供するだけでなく、地域のニーズを踏まえた疾病の予防、介護、看とりなど保健・医療・介護・福祉活動に取り組むことが求められますので、18ヶ月以上の総合診療専門研修ⅠおよびⅡにおいては、後に示す地域ケアの学びを重点的に展開することとなります。
  • ・4年間の研修の修了判定には以下の3つの要件が審査されます。
    • 1)定められたローテート研修を全て履修していること
    • 2)専攻医自身による自己評価と省察の記録、作成した経験省察研修録(ポートフォリオ:経験と省察のプロセスをファイリングした研修録)を通じて、到達目標がカリキュラムに定められた基準に到達していること
    • 3)研修手帳に記録された経験目標が全てカリキュラムに定められた基準に到達していること 様々な研修の場において、定められた到達目標と経験目標を常に意識しながら、同じ症候や疾患、さらには検査・治療手技を経験する中で、徐々にそのレベルを高めていき、一般的なケースで、自ら判断して対応あるいは実施できることを目指していくこととなります。

2)専門研修における学び方

専攻医の研修は臨床現場での学習、臨床現場を離れた学習、自己学習の大きく3つに分かれます。それぞれの学び方に習熟し、生涯に渡って学習していく基盤とすることが求められます。

臨床現場での学習

職務を通じた学習を基盤とし、診療経験から生じる疑問に対してEBMの方法論に則って文献等を通じた知識の収集と批判的吟味を行うプロセスと、総合診療の様々な理論やモデルを踏まえながら経験そのものを省察して能力向上を図るプロセスを両輪とします。その際、学習履歴の記録と自己省察の記録を経験省察研修録作成という形で全研修課程において実施します。場に応じた教育方略は下記の通りです。

(ア)外来医療
経験目標を参考に幅広い経験症例を確保します。外来診察中に指導医への症例提示と教育的フィードバックを受ける外来教育法(プリセプティング)を実施します。また、指導医による定期的な診療録レビューによる評価、さらには、症例カンファレンスを通じた臨床推論や総合診療の専門的アプローチに関する議論などを通じて、総合診療への理解を深めていきます。また、技能領域については、習熟度に応じた指導を提供します。
(イ)在宅医療
経験目標を参考に幅広い経験症例を確保します。初期は経験ある指導医の診療に同行して診療の枠組みを理解し、次第に独立して訪問診療を提供し経験を積みます。外来医療と同じく、症例カンファレンスを通じて学びを深め、多職種と連携して提供される在宅医療に特徴的な多職種カンファレンスについても積極的に参加し、連携の方法を学びます。
(ウ)病棟医療
経験目標を参考に幅広い経験症例を確保します。入院担当患者の症例提示と教育的フィードバックを受ける回診および多職種を含む病棟カンファレンスを通じて診断・検査・治療・退院支援・地域連携のプロセスに関する理解を深めます。指導医による診療録レビューや手技の学習法は外来と同様です。
(エ)救急医療
経験目標を参考に救急外来で幅広い経験症例を確保します。外来診療に準じた教育方略となりますが、特に救急においては迅速な判断が求められるため救急特有の意思決定プロセスを重視します。また、救急処置全般については技能領域の教育方略(シミュレーションや直接観察指導等)が必要となり、特に、指導医と共に処置にあたるなかから経験を積みます。
(オ)地域ケア
地域医師会の活動を通じた地域の実地医家との交流、各研修施設に共通して設置されている地域連携部門の活動などを通じて地域包括ケアへ参画し、自らの診療を支えるネットワークの形成を図り、日々の診療の基盤とします。さらには産業保健活動、学校保健活動、HPH(健康増進活動拠点病院)の活動などを学び、それらの活動に参画します。参画した経験を指導医と共に振り返り、その意義や改善点を理解します。

臨床現場を離れた学習

  • ・総合診療の様々な理論やモデル、組織運営マネジメント、総合診療領域の研究と教育については、関連する学会および団体の学術集会やセミナー、研修会へ参加し、研修カリキュラムの基本的事項を履修します。
  • ・臨床現場で経験数の少ない手技などはシミュレーション機器を活用して学びます。
  • ・医療倫理、医療安全、感染対策、保健活動、地域医療活動等については、基幹施設である小豆沢病院が開催する各種講習会や学術集団会等、日本医師会の生涯教育制度や関連する学会の学術集会等を通じて学習を進めます。地域医師会における生涯教育の講演会は、診療に関わる情報を学ぶ場としてのほか、診療上の意見交換等を通じて人格を陶冶する場として活用します。

自己学習

研修カリキュラムにおける経験目標は原則的に自プログラムでの経験を必要としますが、やむを得ず経験を十分に得られない項目については、総合診療領域の各種テキストやWeb教材、さらには日本医師会生涯教育制度および関連のある学会等におけるe-learning教材、医療専門雑誌、各学会が作成するガイドライン等を適宜活用しながら、幅広く学習します。

3)専門研修における研究

専門研修プログラムでは、最先端の医学・医療を理解することおよび科学的思考法を体得することが、医師としての幅を広げるために重要です。また、専攻医は原則として学術活動に携わる必要があり、学術大会等での発表(筆頭に限る)および論文発表(共同著者を含む)を行なうこととします。
本研修PGでは、関連する学会・団体等が開催する医療活動研究会や小豆沢病院が近隣施設と共催する学術集団会での演題発表、その他の様々な機会を通じた臨床研究、SDH(健康の社会的決定要因)の視点を取り入れた社会医学研究に携わることができます。研究発表についても経験ある指導医からの支援を提供します。

4)研修の週間計画および年間計画

◆総合診療専門研修Ⅰ小豆沢病院(基幹施設)週間スケジュール

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日
午前 英文抄読会       日当直
病棟・救急待機レジデントデー講習会・学会など
病棟 一般外来 新患カンファ病棟 病棟 小児科外来
午後 病棟
救急待機
病棟
多職種カンファ
訪問診療 病棟
総回診
病棟
救急待機
医局会議・CC 当直 研修振り返り

(※総合診療専門研修Ⅰの一例として)

◆総合診療専門研修Ⅰ  練馬第一診療所(連携施設)週間スケジュール

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

午前

一般外来

一般外来

一般外来

訪問診療

小豆沢病院
小児科外来

小豆沢病院日当直レジデントデー
講習会・学会など

午後

訪問診療
在宅カンファ

訪問診療

外来カンファ
職場会議

一般外来

訪問診療

小豆沢病院当直

研修振り返り

(※総合診療専門研修Ⅰの一例として)

◆総合診療専門研修Ⅱ  東葛病院(連携施設)週間スケジュール

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

午前

英文抄読会

総合診療学習会

救急症例検討会

日当直 病棟診療救急外来
講習会・学会など

腹部超音波検査
研修

総合診療
外来

教育回診/病棟

救急外来

訪問診療

午後

病棟
入院患者診療

病棟
多職種カンファ

病棟
入院患者診療

病棟
入院患者診療

病棟
院長回診

担当患者の病態に応じた診療/オンコール/当直など

医局CC

研修医CC/CPC

(※総合診療専門研修Ⅱの一例として)

◆内科研修 東葛病院(連携施設)週間スケジュール

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

午前

英文抄読会

総合診療学習会

救急症例検討会

消化器抄読会

日当直
病棟診療

救急外来 講習会・学会など

上部消化管

総合内科外来

腹部超音波検査

病棟

訪問診療

内視鏡検査研修

退院フォロー外来

研修

入院患者診療

午後

消化器カンファ
病棟

病棟
入院患者診療

病棟
入院患者診療

救急外来

下部消化管
内視鏡検査研修

担当患者の病態に応じた診療/オンコール/当直など

医局CC

研修医CC/CPC

(※内科研修の一例として)

◆小児科研修  東葛病院(連携施設)週間スケジュール

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日
午前

小児英文抄読会

英文抄読会

救急症例検討会

日当直 病棟診療
小児科一般外来講習会・学会
など

新生児健診
小児科一般外来

病棟
入院患者診療

小児科一般外来

病棟
入院患者診療

訪問診療

午後

病棟
入院患者診療

乳児健診

病棟
入院患者診療

救急外来

ワクチン外来

担当患者の病態に応じた診療/オンコール/当直など

医局CC

研修医CC/CPC

(※小児科研修の一例として)

◆救急科研修 東葛病院(連携施設)週間スケジュール

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

午前

英文抄読会

救急症例検討会

日当直 病棟診療救急外来
講習会・学会など

救急外来

心臓超音波検査
研修

救急外来

救急外来

訪問診療

午後

救急外来

救急外来

救急外来

腹部超音波検査
研修

救急外来

担当患者の病態に応じた診療/オンコール/当直など

医局CC

研修医CC/CPC

(※救急科研修の一例として)

本研修PGに関連した全体行事の年度スケジュール
SR1:1年次専攻医、SR2:2年次専攻医、SR3:3年次専攻医、SR4:4年次専攻医

  全体行事予定
4月

・SR1:研修開始。専攻医および指導医に提出用資料の配布
・SR2、SR3、SR4、研修修了予定者:前年度分の研修記録が記載された研修手帳を月末まで提出
・指導医・プログラム統括責任者:前年度の指導実績報告の提出

5月

・第1回専門研修プログラム管理委員会:研修実施状況評価、修了判定

6月

・研修修了者:専門医認定審査書類を日本専門医機構へ提出
・関連学会参加(発表)(開催時期は要確認)

7月

・研修修了者:専門医認定審査(筆記試験、実技試験)
・次年度専攻医の公募および説明会開催

8月

・関連学会地方会演題公募(詳細は要確認)

9月

・第2回専門研修プログラム管理委員会:研修実施状況評価
・専攻医公募締切(9月末)

10月

・関連学会地方会参加(発表)(開催時期は要確認)
・SR1、SR2、SR3、SR4:研修手帳の記載整理(中間報告)
・次年度専攻医採用審査(書類選考および面接・小論文)
・関連団体が主催する臨床研修交流会参加(発表)

11月

・SR1、SR2、SR3、SR4:研修手帳の提出(中間報告)
・小豆沢病院医療活動研究会(発表)
・経験省察研修録合宿

12月

・第3回専門研修プログラム管理委員会:研修実施状況評価、採用予定者の承認
・関連団体が主催する青年医師学術運動交流集会参加(発表)

1月

・経験省察研修録発表会

3月

・その年度の研修終了
・SR1、SR2、SR3、SR4:研修手帳の作成(年次報告)(書類は翌月に提出)
・SR1、SR2、SR3、SR4:研修プログラム評価報告の作成(書類は翌月に提出)
・指導医・プログラム統括責任者:指導実績報告の作成(書類は翌月に提出)
・研修修了式

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